焼け残る瓦礫たちと踊る、ほろにがファンタジック・ホラー
絵本作家のかなえは、あちこち引っ張りダコの売れっ子作家。 でも、本人はむっつり浮かぬ顔。 売れているのは本当のアタシじゃない、演じている「ウソ」のアタシだから。 ある日の仕事帰り、会ったことがあるような、けれども見覚えのない、 まるであやつり人形のような男に親しく声をかけられ…… 気がつくとかなえが立っていたのは、今まで来たことのない、 けれどもどこか懐かしいマンション。 振り返ると男の姿はなく、次の瞬間、鉄扉が閉まる不気味な音がこだまする。 すると、彼女を嘲笑うように、マンションはみるみる朽ち果て廃墟と化してゆく。 廃墟の片隅に潜んでいた無数の妖怪たちが、長い年月を超えて蠢きだす。 やがて誰もいない夜の遊園地のメリーゴーランドが踊るような、 かなえと妖怪たちの、楽しく切ないカーニバル。 そしてスケッチブックには、想像もしなかった物語が紡がれてゆく──。
この物語は15年前に僕の夢のなかで作られた。 『ベイクド・マンション』というタイトルも。 何カ月もかかる作品づくりが、何夜かの夢で出来上がるなんて、 なんて素晴らしいことだ。 それにしても、夢って何なんだろう。 現実世界の感覚で夢の時間を捉えると、 奇想天外で、意味不明で「まあ、夢だからね」と片付けてしまいがちだが、 ほんとうにそれでいいのだろうか…と真面目に考える。
思えば幼い頃は同じ夢ばかり見ていた。 ほんの数秒、重たい石包丁のようなものが 「ガッタン」と、ゆっくり押し出される、それだけの。 後年それは処刑される時に使われるギロチンであることが分かった。 ギロチンも知らない子供が、なぜそんな夢を何度も見るのか。
これは何処かに繋がっているトンネルとしか思えない。 「現実世界がすべてだなんて、騙されるなよ、オマエ」 と毎晩言われている気がしてならない。
夢のなかで出来た物語を劇団の作品にするのは正直言えば勇気が要った。 それでも作品にしたいと思った、夢への希望や恐怖が、 この物語のあちらこちらにこびりついている。
作・演出 緑川憲仁
開場は開演の30分前。当日券販売は開演45分前。
下記のお願いを必ずご一読頂きますようお願い申し上げます。
全席指定
JR恵比寿駅西口/東京メトロ日比谷線恵比寿駅1、2番出口より徒歩5分 ※当劇場に駐車場、駐輪場はございません。予めご了承ください。
以上のご案内や注意事項をお守り頂けない場合、やむなく公演を中断・中止となる場合がございます。公演のお知らせは公演特設サイト・シアターキューブリックHP・SNS等にて随時お知らせいたします
全てのお客様に楽しくご観覧を頂けます様、より一層の安心・安全な環境作りの為、ご理解・ご協力を賜りますよう、何卒お願い申し上げます。